2014年05月02日

千年の森の物語・東京赤坂 ノベンヴァーイレブンス、報告記。

ここは、東京・赤坂。赤坂 一ツ木通りを歩くこと数分。


龍の手が青い玉をもってお出迎え。


シャレた階段を上がって行くと…


アンビエントなドアが。


そして、居心地のいい空間がひろがります。


4月30日は、ここ、宇崎竜童さん阿木燿子さん夫妻がプロデュースする赤坂のライブビストロ「ノヴェンバー・イレブンスPart2」で唄わせていただきました。芸能の道、大先輩のお店でのライブ、光栄です。


雨の降る中、お世話になってるみなさま、久しぶりのみなさま、はじめましてのみなさま、多くの方にお越しいただきました。一部・二部構成のライブ、ゆっくり、じっくり、温かく聴いてくださり本当にありがたかったです。

【一部】
1.火
2.風
3.御柱
4.龍の風
5.〜地球〜

【二部】
1.マドンナの月
2.太陽の道
3.光
4.虹のチカラ
5.生きてゆこう
6.ありがとう

ー八木節
ー千年の森の物語



信州・茅野からも応援団。もうすぐ国宝になる土偶「仮面の女神」、国宝土偶「縄文のビーナス」、たいくんも見守ってくれました。


ライブビストロ・ノヴェンバー・イレブンスPart2。お料理も工夫されており印象的でした。宇崎竜童さん、さすがです。茶器まで龍。


まかないで頂いたパスタにはカレースパイスが。口に入れた瞬間、おっ!と思いました。


これが噂の「キャベツステーキ」。チーズとホワイトソースでこんがり焼かれ、キャベツがもっちりとメインディッシュに。美味しかったです。
ノヴェンバー・イレブンスのスタッフのみなさま、気持ちのいい方ばかりでした。大変お世話になりました!


今回のライブを企画して下さった松井さんご夫妻。奥様といっしょに。貴重な機会をつくってくださり感謝しかありません。ありがとうございました!
そして、お忙しい中お越し下さったみなさま、本当にありがとうございました!

【みなさまのご感想】
・千年の森の物語では、こらえていた涙がほろり…。透き通る声にたくさんの癒しとパワーをチャージして頂きました。有り難うございました。(F・Tさん)
・今までで一番よかった!今日は何か降りて来てましたね。(Tさん)
・「虹のチカラ」よかった。龍の風は、ライブでしか聴けないのがいいですね。(Y・Tさん)
・良い思い出、悪い思い出を美咲さんの唄を聴いて思い出していました。明日への道を強く踏み出せそうです(ちょっと言い過ぎかな…)(K・Yさん)
・「千年の森の物語」これまでの最高の出来でした。すばらしかったです。また満月ライブで会いましょう(K・Sさん)
・とてもよかったです。「ありがとう」と「光」がきけてうれしかったです。千年の森の物語もとてもよい曲ですね。(F・Kさん)
・楽しくすごせました。ありがとうございます。(Y・Iさん)
・美咲さんの唄、風を感じます。(Y・Kさん)
・アルバムで聴いているのと生で聴くのでは、だいぶ違う感じでした。やっぱり生が良いですね。長野や関西には行けないので、また東京でライブをしてください(T・Kさん)
・新鮮な印象を受けました。自分には無いものを持っているなぁとしみじみ聴かせて頂きました。自分も自分らしく頑張りたいと思います。(G・Mさん)
・さわやかな唄声ありがとう。明日からまたリフレッシュできます。(Y・Iさん)
・御柱の唄がとてもよかった。地球をイメージした曲も、癒されるような雰囲気でよかったです。オリジナル曲以外もカバーで聴いてみたかった。(Mさん)

貴重なご意見ご感想、ありがとうございました!みなさまから頂いたお声を大切に成長していきます。

  

Posted by 葦木啓夏(Hiroka Ashiki) at 23:31Comments(0)千年の森の物語

2014年04月22日

萌えいずる春!



ここ二日雨が続きましたが、私の家のちかくの桜は、まだまだこれから咲くようです。



萌えいづる春の香りでいっぱいですね。
今日、4月22日はアースデイ(地球の日)だったので【〜地球(テラ)〜】の動画をつけておきます。



明日23日(水)13:00〜は、東京・世田谷にある「薬草カフェ」さんで、作家の谷よっくるさんと【萌えいずる春のトーク&ライブ】でご一緒します。



谷よっくるさんは今月の満月にスピリチュアルファンタジー 青き龍と白き龍の伝説をKindle電子書籍で出版されました。このお話の断片も、明日のトークでは聞けるのではないかと私も楽しみです♪平日の昼間となりますが、ご都合つきましたら、お待ちしています。



  

Posted by 葦木啓夏(Hiroka Ashiki) at 19:31Comments(0)お知らせ千年の森の物語

2014年04月18日

心音アーカイブプロジェクト記事、信濃毎日新聞に掲載。


心音-Kokorone-アーカイブプロジェクトの取り組みが、信濃毎日新聞さんに掲載されました。ありがとうございます。



【地域民謡 ロックやジャズで】
茅野市湖東の音楽プロデューサー篠原正司さん(48)らが、地域に伝わる民謡などをロック調やジャズ調に編曲し、インターネット上で無料提供する試みを始めた。提供した曲を地域の催しで使ってもらったり、さらに編曲してもらったりしながら、将来に伝えていく狙いだ。同市のシンガー・ソングライター葦木美咲さん(28)や、松本市のデザイナー伊藤昌輝さん(42)ら県内の約10人が協力。「心音-Kokorone-アーカイブプロジェクト」と銘打ち、今月から本格的に活動している。
第一弾として13日、同プロジェクトのホームページで13曲を公開。民謡「八木節」をよさこいソーラン踊り向けのロック調にした曲などのほか、葦木さんの作品もダウンロードできる。
「伝統音楽を将来に残すには、利用されることが重要。祭りなどの催しでどんどん使ってほしい」と篠原さん。今度も音楽著作権のない民謡や、葦木さんの楽曲などを編曲して公開していく。7月には、戦後に茅野市内の盆踊りや村祭りで踊られた「ダンチョネ節」をジャズ風に編曲して公開する予定という。  

Posted by 葦木啓夏(Hiroka Ashiki) at 10:03Comments(0)千年の森の物語心音AP

2014年04月17日

初音ミクと千年の森の物語。ダウンロード。


雑記になりますが、千年の森の物語について書いてみたいと思います。

【千年の森の物語】を、初音ミクに唄ってもらうというアイデアは、アルバム制作の構想が始まった去年5月頃からありました。

大切だと思ったものを千年残っていく、残していくって、どうゆうことなんだろう?そんな方法はあるのか?考えても答えに行き着かないようなテーマを軸に、毎回関係者のみなさんとミーティングを重ね、千年の森の物語の作品づくりはスタートしました。

10月19日は葦木美咲版がリリース。当初から「使って、唄ってもらうことが一番。」という考えがプロジェクト内にあったので、【千年の森の物語/葦木美咲】も、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(著作は手放しませんが一声かけて下されば、著作権料もいらない&色々なことにお使いください)という方法を選びました。私のアルバムとして発売した「千年の森の物語」の収録曲は、私以外の他のシンガーが唄っても構わないのです。というか、どんどん歌ってほしいというメッセージを含んだアルバムでした。(なかなかお伝えできていなくてもどかしくもありました)。
この発想が原点となり初音ミクに唄ってもらうことになりました。というわけで私はボーカロイドをオペレートし初音ミクと向き合うことになりました。実際にボーカロイドを操作し【千年の森の物語】の曲をミクに唄ってもらうと、「この曲のメロディー・コーラスはこうやって和音が重なりあっているのか」とか、曲の美しさ、純粋さに改めて気がついたりして、自分が中に入りこみすぎていたら気がつかなかった曲の持つ可能性を知ることになりました。とても素直な声で唄ってくれるので、浄化力はミク版の千年の森の物語のほうがあるんじゃないかなと思っています(*^_^*)

この作品達が1000年後まで残っているかは分からない。でも新たなバリエーションが生み出されたことによってその可能性が広がったことは間違いありません。

BGMで使ったり、映像で使ったり、踊りで使ったり、ミクの声を外して自分で唄ってみたり、色々遊んでもらえたら嬉しいです。
心音-Kokorone-アーカイブプロジェクトのサイトからMP3版は無料でダウンロードできるようになっています。まずはこれらの曲にふれてみてほしいと思います。もし気に入ったらダウンロードして、使ってみて下さい。

視聴およびダウンロードできるのは以下の9曲です。

千年の森の物語/初音ミク

01.千年の森の物語

02.天つ風

03.私の森の風

04.かさなり

05.マドンナの月

06.太陽の道

07.生きてゆこう

08.それぞれの春へ

09.生きてゆこう Reprise

  


Posted by 葦木啓夏(Hiroka Ashiki) at 13:28Comments(0)千年の森の物語心音AP

2014年04月14日

言葉ってむずかしい。




昨日から、心音-KokoroNe-アーカイブプロジェクトのサイトが公開しました。
「千年の森の物語」の初音ミク版と、「八木節」の初音ミク・葦木美咲版のMP3がダウンロードできるようになり、千年ミク版の各種素材が入ったデータCDも心音APサイトとライブ会場でお求めいただけるようになりましてが、この意義や意味をお伝えするのがとっても難しい。

心音AP代表の篠原さんや、副代表のハタヒカルさんは、私よりも解釈しているので、昨日のプレスリリースでも新聞記者さんに対して答えていましたが、それでもなかなか伝わらなくて。ましてや私の言葉になると……(>_<;)
でも伝えられるように咀嚼に励みます。
ポイントは、残したい曲や伝統唄をどうしたら千年後までアーカイブすることができるんだろうということと、ロマンです!
心音APについては、サイトのABOUTをごらんになってみてください。
  

Posted by 葦木啓夏(Hiroka Ashiki) at 22:16Comments(0)ふと思うこと千年の森の物語

2014年04月13日

千年の森の物語・初音ミク版発表。




本日4月13日オープンした
心音-Kokorone-アーカイブプロジェクトWebサイトから
【千年の森の物語/初音ミク】
【八木節/初音ミク・葦木美咲】
MP3楽曲データ13曲のダウンロードが
できるようになりました。



千年の森の物語は、BGM用途や二次創作の素材となるカラオケデータ(flac)やボーカロイドデータなどを収録したDataCDの頒布もはじめました。
(DataCDは、初音ミクの歌入り部分は通常のCDプレーヤーで再生できます)

心音アーカイブプロジェクト』サイトはこちらです。
http://kokoroneap.naganoblog.jp/

楽曲のダウンロードはサイトのメニュー「ダウンロード」→「千年の森の物語」を選択してください。ダウンロードの方法は2つです。一つはピアプロからのダウンロード。もう一つはGoogleDriveからです。

心音APについては「ABOUT」のページをご一読ください。
http://kokoroneap.naganoblog.jp/e1472435.html  

Posted by 葦木啓夏(Hiroka Ashiki) at 11:28Comments(0)お知らせ千年の森の物語心音AP

2014年04月07日

『千年の森の物語/初音ミク』リリース日のお知らせと、説明会のお知らせ。

『千年の森の物語/初音ミク』の発表を
お待たせしていてすみません。
リリース日が決定したのでお知らせします。

【2014年4月13日(日)】となりました。

千年の森の物語は、その経緯を辿ると、リスニング アルバムCD 葦木美咲版は2013年10月19日リリース。みんなが使えるリスニング&データCD 初音ミク版およびMP3ダウンロード版(無料)は2014年4月13日リリースとなります。
ふたつでひとつの、さらなる千年の森の物語のはじまりです。ここから新たなバリエーション(物語)が生み出されることを期待しています。



このデータCDを扱う母体ですが
【心音-kokorone-アーカイブプロジェクト】という任意団体がこの4月に立ち上がりました。
著作権保護機関に登録されていないオリジナル楽曲および民謡などをクリエイティブコモンズライセンスに基づき、二次利用・二次創作を認め、そうして新しく生まれた楽曲等のコンテンツをHPを利用しアーカイブし、さらなる再利用、再生を生み出す新しい音楽活動のひとつの形態です。
※4/13には、そちらのHPで「千年の森の物語」「八木節」が無料ダウンロードできるようになります。

そんな、心音-kokorone-アーカイブプロジェクトの目的や、今後の方向性などをお伝えする説明会を、かんてんぐらで行うことになりました。『千年の森の物語/初音ミク』、『八木節/初音ミク』、『八木節/葦木美咲』の初披露もあります。初音ミク・DATACDが欲しい方、また当プロジェクトにご興味のある方は、ぜひ、お集まりください。

〜Open Music Source Project〜
『心音-kokorone-アーカイブプロジェクト』説明会

    千年の森の物語/初音ミク
    Matsuriuta 八木節/初音ミク・葦木美咲
■日時 4月13日(日) 14時~ (一時間程度)
■場所 茅野市宮川 かんてんぐら
    http://www.chinonet.net/miyakura/
■料金 無料
■内容 
心音-kokorone-アーカイブプロジェクトの説明。
無料ダウンロードHPおよびデータCDの説明とご案内。音楽コンテンツのアーカイブと再利用の意義について。

  

Posted by 葦木啓夏(Hiroka Ashiki) at 22:57Comments(0)千年の森の物語

2014年04月01日

例えばの、うそつきギツネと不思議なウサギの物話。


最近、物語を書くことにちょっぴり楽しみを見いだしています。またひとつ書いてみたので、よかったら読んでみて下さい。

________________________

【うそつきギツネと不思議なウサギの物話】

あるところに、周りのみんなから「うそつきギツネ」と呼ばれる権太がおりました。権太が口にすることは、いつも本心と真逆のことばかり。ほしいモノは「欲しくない」と言い、好きなモノは「嫌い」、キレイなモノは「汚い」、素晴らしいものは「大したことない」と馬鹿にしました。
そんな権太ですから「あいつの言うことは嘘ばかり」と、誰からも信用されることなく、本当はみんなと仲良くなりたいのにいつもひとりぼっちで暮らしていました。

「俺を一人にするみんなも、世界も大嫌いだ。」

ある日のこと、権太が夜の主食を狩りに川へ魚をとりにいくと、川底の中でキラキラ光る白い玉を見つけました。

「これはなんだろう?」

不思議そうにのぞき込むと、半透明の白い玉の中に、ひらりと動く影。

「何かの卵なのか?」

なぜだか嬉しくなって、権太は夕食の魚を捕ることも忘れ、その玉を家に持ち帰り、あたためてみることにしました。だんだんと玉の中の影は大きくなり、それから2日後。パカッと卵が割れました。中から出てきたのはなんと羽の生えたウサギ!
目がまん丸な可愛い不思議なウサギの赤ちゃんは、権太を見るなり「おかあちゃん!」と羽をぱたぱたさせて抱きついてきました。これには権太もびっくり!

「俺はおまえの母ちゃんじゃ無い。おまえなんか大嫌いだ!」

思わず本当も混じったウソをついてしまいました。それを聞いたウサギもびっくりして大泣きをし始めました。

「うわ〜〜〜〜ん やっとおかあちゃんに会えたと思ったのに、おかあちゃんじゃなかった〜〜〜〜!!」

ウサギは一向に泣き止みません。

「はぁ、、、困ったな。」

権太は不思議なウサギを抱きかかえると、よしよしと撫でてあげました。するとウサギは安心したのか泣き止んで、やがてスースー寝始めました。

「めんどくさいことになった。なんで俺様がこいつの面倒をみなくちゃなんのだ。。まだ小さくて何にも食べるところもありゃしない。。そうだ!こいつを丸々太らせて、大きくなったら喰ってやろう。そうしたら、報われるってもんだろう。」

それから権太は、ウサギを太らせて大きくするために、いろんな所から餌を狩って持ってきました。でもウサギは、一向に肉を食べようとしません。食べてもすぐにはき出してしまいます。

「おいウサギ!なんで俺がこんなにしてやってるのに、ごちそうを食べないんだ!?」

ウサギは言いました。「だって、お肉食べれないんだもん。草がいい。」

権太は怒りました「おい!俺がこんなにしてやってんだぞ!!」

「うわ〜〜〜〜〜ん!!」

こんなふうにして、キツネと不思議なウサギのでこぼこな生活が始まっていきました。最初はあんなに小さかった白いウサギも段々と大きく育っていきました。
キツネは大きくなったウサギを見ながらぼんやり思っていました。「そろそろ食べ頃だな。。。。。」

そんなある日のこと、キツネはいつものように川に魚を捕りにいき帰ってきました。すると羽が一枚ぽつりと落ちており、ウサギの姿も見当たりませんでした。「そんな!!」愕然と立ち尽くしているときに、遠くの方から声がしました。

「うわ〜〜〜〜〜ん!!おかあちゃ〜〜〜〜ん!」

「あいつ!!また泣いてる!どこにいるんだ!!」

権太は、声のする方向へと向かって森の中を颯爽と駆けだして行きました。すると、

「うまそうなウサギだな。いまからじっくり食べてやるぜ。」

キツネの中でも大きな縄張りを張っている大ギツネが、いまにも大切なウサギを食べようとしています。

「おか〜ちゃん!!!!」

「やめろ!そいつは俺んのだ!」

「うそつき権太が何言ってやがる。どうせ何とも思ってないんだろ?これは俺が頂くぜ!」

「やめろ!!!!そいつは俺が育てた大切なやつなんだ!!!」

権太の口からはじめて本心の言葉が出てきました。
大ギツネと権太は、互いに血みどろになるまで戦い続け、やがてパタリと同時に倒れました。

「おか〜〜ちゃん!!!!!」

不思議なウサギは大きな目いっぱいに権太に呼びかけますが、ぼろぼろの雑巾のようになった権太はピクリとも動きませんでした。でもその顔は、なんだかとても幸せそうでした。


〜おしまい〜
  

Posted by 葦木啓夏(Hiroka Ashiki) at 19:20Comments(0)千年の森の物語

2014年03月30日

例えば、の 小さな青い花の物語。

今年も俺の嫌いな季節がやって来た。鳥は唄い、根雪は溶け、あらゆるものが、今か今かと芽吹きを待っている。

『けっ!のんきなもんだな。』

春は、俺が見たくないものをどうだとばかりに見せつけてくる。地面を蹴飛ばそうとふと足元をみると、今にも踏みつけそうな場所に小さな小さな青い花。



『お前はかわいそうなやつだな。周りはピンクやら黄色やら、暖かな色をしてんのに、お前だけ涙色だ。しかも俺に今にも踏まれそうになってる。なんのために生まれてきたんだ?咲いても意味なかったな。』

自分と思い重ねながら、俺は花に話しかけた。すると、、

『ありがとう!』

花が答えてきた。俺は困惑した。なんで花がしゃべる?そして、この花はなんでありがとうなんて言ったんだ?

『おまえ、なんで俺なんかに礼なんか言うんだよ。俺は今にもおまえを踏みつけようとしていて、哀れんでやってんだぞ!』

すると花は言った。

『だって今まで私は、自分が何色で咲いているかなんて考えたこともなかったんだもの。目がついてないから自分で自分は見えないし。どこかからやってきたみたいだけど、もといた場所や、どんなふうになるかなんて誰も教えてくれなかったし、種として風にのってここにやって来て、土のなかで長く眠って目が覚めたらこうなってたの。これが当たり前だし、これを一生懸命やればいいって思ってた。でも時々気になってたの。私は何者で、どんなふうなのか。でも、あなたは親切に、私が涙色だって教えてくれた。あなたは、とてもやさしいひとね!』

『そうなのか。。でも俺は今にもお前を踏みつけようとしていたんだぞ。こんな俺をやさしいって思うのか。』

『ええ、思うわ。あなたは親切でやさしいひと。』

俺は正直困惑した。今まで「やさしい」なんて一度も言われたことがなかったから。自分で自分を嫌なやつだと決めていたから。

『ねえ、私は涙色を見たことがないの。それってどんないろ?』

『そうだな、、、どうやって説明したらいいんだろう。、、おまえは太陽は分かるのか?』

『ええ、熱を感じるからわかるわ。だって私たち、太陽があるから伸びていけるんだもの!太陽がどうしたの?』

『涙色は、、、そうだな。よく晴れた日に太陽の周りを包み込んでいる色だよ。太陽の周り一面、涙色をしているんだ。』





『わぁ〜!そうなの!』

花は嬉しそうに笑った。

『それから、、、涙は、、俺たちが悲しくなったりしたときに、よくわからないけど目からしたたり落ちてくるしょっぱい水があるんだ。それを“涙”って言うんだけど、その色だよ。』

『・・・』

『太陽を包んで、悲しみを包む色なのね。あなたは私が知りたかったことを教えてくれたやさしい人。だから、あなたが悲しくなったら、私がその涙をぜんぶ受け止めてあげるわ。』


小さな花は微笑んだ。

俺は思わずその時、生まれてはじめてこの言葉を使った。

『・・・ありがとう。』

それから俺は、この不思議な対話に名残惜しさを感じながらも目的地に向かって歩き始めた。なんであの花がしゃべったのか、どうして「ありがとう」なんて言ったのかわからないけど・・・。

この季節が少しだけ好きになった。



■3/31(月)新月リリース【千年の森の物語/初音ミク】
みなさんの物語作り、表現活動の素材に
使ってもらえたら、うれしいです。  続きを読む

Posted by 葦木啓夏(Hiroka Ashiki) at 13:32Comments(0)千年の森の物語

2014年03月28日

例えば、の 千年の森の物語。

時は28××年の近未来。
あるよく晴れた日。いつも遊びに行く森の中に無造作に捨てられていた初音ミクのデータのカケラを一人の男の子が発見する。
「これはなんだろう?」不思議に思った男の子は、そのカケラを家にあった工具を使って組み直し見れる様にした。
「初音ミク・・?」それは、かつて日本という国で自己表現の創作ツールとして流行っていたボーカロイドというものだった。初期タイプは、歌詞と音程を打ち込んで唄わせるものだったが、開発の末、性格や感情が付け加えられ、まるでいっしょに生活しているような感覚になれる機能も備えていた。彼女が唄ってくれた曲。「あれ、この曲どこかで聴いたことがある気がする・・。」男の子は、3D画面越しに淡い恋心を抱く。

毎日、毎日、男の子はミクと出会ったあの森へ行き、彼女にあの唄を唄ってもらう。決して報われないと言うことは分かっていた。彼女はボーカロイド。僕は人間。男の子は、荒れた森を手入れして、ドングリの芽を植えた。800年ひとりぼっちだったミクは、彼といっしょに本当に楽しい時間を過ごした。彼のおかげで緑豊かな森が、少づつよみがえる。しかし60年後、時はあまりにもはやく過ぎてしまい彼は寿命を迎え死んでしまう。

デジタル空間が歪むほどに悲しんだミク。そのとき、眩い光が森を包む。その光は、デジタル空間のどこかに存在するという伝説の「カミサマ」のような存在だった。(その実体はデジタル上のエラーを直す、自動修正システムだった。)その「カミサマ」に出会うと、どんなデジタル上の存在だとしても願い事をひとつ叶えてくれるという。ミクはその伝説を思い出した。
「あなたはカミサマ?・・私、人間に生まれ変わりたい・・。どうか、彼とめぐり会わせてください!」
・・しばらくしてカミサマのような光は言った「オマエノ望ミヲ叶エヨウ。タダシ条件ガアル。コノ森ハ、アラユルイノチ ガ 住マウ 大切ナ森。コノ森ヲ アト千年マモリナサイ。ソノ時オマエハ消滅シ 命ガ巡リ アノ彼ト巡リアウコトトナルダロウ」
(実は、自動修正システムは、ミクのデータの消滅期限を知っており、その先の未来を読み取っていたのだ。)

そしてミクは、今日もこの森の守り神として、千年後の彼との再会を心待ちに、彼との思い出のウタを口づさむのであった。

「千年の森の物語」。


なんてね。



■3/31(月)新月リリース【千年の森の物語/初音ミク】
みなさんの表現活動の素材に
使ってもらえたら、うれしいです。
http://www.misakix.jp/e1461234.html
  


Posted by 葦木啓夏(Hiroka Ashiki) at 14:35Comments(0)ふと思うこと千年の森の物語